8. 制度変更ポイント(2025年12月追記)
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1. はじめに
2024年12月以降、紙の健康保険証の新規発行が停止し、マイナンバーカード一体型の「マイナ保険証」が基本となります。
しかし、個人情報保護の観点やシステムの信頼性への不安から、マイナンバーカードを取得したくない、あるいは返納したいという声も少なくありません。そんな方々には、別の選択肢も用意されているようです。さらに、マイナ保険証を持っていても、それのみでは完璧に紙の保険証の代用にならないケースもあったり、かなり混乱してしまうこともあるようです。
そこで、すべてのケースを想定し、各々必要とするもの、またこれから何をしなくてはいけないのか、などをわかりやすく解説していきたいと思います。
2. 紙の保険証が即時使用できなるわけではない!
ニュースでは紙の健康保険証が「使えなくなる」と誤解される方がいるかもしれませんが、実際には2024年12月2日以降、新規発行が停止されるだけであり、すでに発行されている保険証はケースに応じて、最大1年を目安に使用可能です。以下に詳細を示します。
a. 有効期限が最大1年(2025年12月1日まで)の方
- ①現在の健康保険証に有効期限の記載がない場合
- ②現在の健康保険証の有効期限が2025年12月2日以降の場合
b. 有効期限が1年未満の方
- ①健康保険証の有効期限が2025年12月1日までの場合:有効期限までで失効
- ②転職や休職などで保険資格を失う場合:健康保険証の資格は失職や保険者変更翌日に失効
3. 資格確認書
3-1. 資格確認書とは?
マイナンバーカードを持っていない方、または健康保険証としての利用登録をしていない方に対して、自動的に交付される現行保険証の代わりとなるものです。この資格確認書は現行の健康保険証と同様に、医療機関で保険診療を受ける際に必要となります。つまり、マイナンバーカードを持っていない方でも、特に申請しなくても代替の保険証が交付され、手続きなしで保険医療を受けることができます。
ただし、マイナ保険証には様々な便利な機能が備わっており、医療履歴の管理やオンライン資格確認機能などの利便性を享受することはできません。従って、マイナンバーカードを持っていない方は、資格確認書の交付を受けることになりますが、マイナ保険証の利便性は利用できません。
3-2. 資格確認書の期限
資格確認書には通常、最大5年間の有効期限が設定されます。この期限内に保険者(健康保険組合や自治体など)が更新手続きを行うこととなります。したがって、資格確認書を受け取った後も、定期的に更新が行われるため、期限切れで利用できなくなることは避けられます。
3-3. 申請が必要な方
上記通り、基本は資格確認書は申請する必要はありません。ただし、中にはその方の状況などにより、申請すべき、申請しなくてはいけないケースも出てきます。
- ①高齢の方や障害をお持ちの方々など、医療機関への受診にマイナンバーカードを使用が困難な方。ただし、これらの方は、一度申請をすれば上記の期限を超えても、再申請は不要です。
- ②マイナンバーカードを紛失などして手元にない方。
4. 資格情報のお知らせ
また、「資格確認書」とは別に、「資格情報のお知らせ」なるものがあります(非常にややこしい!)。ただし、この2つは両方所持する(送付される)ことはありません。この、「資格情報のお知らせ」に関しては、マイナ保険証とセットとして用いることになるからです。
4-1. 資格情報のお知らせとは
資格情報のお知らせは、マイナ保険証を持っている方(マイナンバーカードで健康保険証利用登録が完了している方)に交付される通知です。このお知らせは、オンライン資格確認システムを導入していない医療機関での受診時に使用されます。オンライン資格確認システムを導入していない医療機関では、マイナ保険証を使って保険資格が確認できないため、資格情報のお知らせを見せることで保険資格の確認が行われます。
4-2. 資格情報のお知らせの目的
- (1)健康保険情報の確認
現行の健康保険証とマイナンバーカードが正しく紐づけされているかを確認するための重要な書類です。万が一、マイナ保険証の情報に誤りがあれば早期に修正を行うことが可能です。 - (2)オンライン資格確認が未導入の医療機関への対応
オンライン資格確認システムをまだ導入していない医療機関(病院・薬局など)を受診する際に、保険情報の確認をスムーズに行うために使用されます。この書類をマイナ保険証と併せて提示することで、適切な保険診療を受けることができます。
4-3. 資格情報のお知らせの様式
4-3-1. 資格情報の確認
資格情報のお知らせは、通常1枚の用紙であり、現行の健保などの健康保険証と同等の被保険者番号、記号、被保険者氏名、生年月日、負担割合、資格取得年月日、保険者名などの情報などが掲載されています。詳細は保険者のHPなどで確認をお願いします。
さらに別に、**** **** **** 1234のような形で、マイナンバーカードの下4桁も記載されています。まず、送付された場合は上記がすべて正しいかどうか確認します。
4-3-2. 切り取り可能部分の活用
さらに、用紙の左下には現行保険証大に切り取れる部分が存在します。その部位にも記号や番号など、ほぼ健康保険証同様の内容が記載されています。用紙全体を提示することもできますが、切り取った部分のみでも問題なく利用可能です。
【備考】「資格情報のお知らせ」はあくまでマイナ保険証とセットでの話であり、これのみでは保険医療を受けることはできないため、注意が必要です。
5. 今後保険医療を受けるための要点
色々調べていくうちに、では何が必要なのか?というのが、その方の条件によってかなりバラバラで、とてもわかりにくい仕様になっています。これは今後何とかして欲しいところです。
5-1. マイナ保険証を持っている方
- (1) オンライン資格確認システムが導入されている医療機関の場合
→ マイナ保険証のみで受診可能。 - (2) オンライン資格確認システムが導入されていない医療機関の場合
→ マイナ保険証に加え、以下いずれかの提示が必要です:
・資格情報のお知らせ
・マイナポータルの画面(スマートフォン等での画面提示)
【備考】「資格情報のお知らせ」が送付された方は、トラブル時に備え、外出時に持参することを推奨します。例えば、システム障害や医療機関の確認手続きの遅延に備え、提示できる手段を確保しておくことが安心です。
5-2. マイナンバーカードと健康保険証の紐付けをしていない・解除された方
現行の健康保険証に代わり、自動的に発行される「資格確認書」を提示して受診可能(申請不要)。
【備考】ただし、以下の場合には資格確認書を取得するために申請が必要です:
- ①高齢者や障害を持つ方などでマイナンバーカードの使用が困難な場合(更新不要)
- ②マイナンバーカードを紛失した場合
- ③マイナンバーカードの更新中で受け取りが完了していない場合
5-3. マイナンバーカードそのものを持っていない方
現行の健康保険証に代わり、自動的に発行される「資格確認書」を提示して受診可能(申請不要)。
※5-2および5-3のケースは、基本は資格確認書のみ提示と、今までの紙の健康保険証と変わらないため、とてもわかりやすいと思われます。一方、下記の項で説明する、マイナ保険証の大きなメリットも受けられないことになるため、注意が必要なケースもあります。
5-4. マイナ保険証の安全性
マイナンバーカードは「持ち歩いて大丈夫なのか?」という不安の声をよく耳にします。
しかし、デジタル庁の公式説明の通り、カードには
・暗証番号
・ICチップ内部の強固な暗号化
・不正読み取り防止
などの技術が施されており、拾われただけで悪用されることはありません。
実際、マイナンバーカードだけを他人が入手しても、銀行口座開設・なりすまし・行政手続きはできず、暗証番号が無い限り中身の情報には一切アクセスできません。
とはいえ、カードの摩耗や破損、財布の中での擦れによる読み取り不良は現場では意外と多く経験します。
そのため、普段からマイナ保険証を携帯する場合は、薄型の保護ケースを使っておくと安心です。
👉マイナンバーカードケース 日本製 MNB-06 (無地, 1枚)
6. マイナ保険証のメリット
カードの持ち運びや分かりやすさに関しては、「資格確認書」の簡便さが上回っていますが、マイナ保険証にも相当のメリットが存在します。特に、頻繁に医療機関にかかり、申請しなければいけない控除などがあった際はメリットが大きいと感じます。
6-1. 高額療養費の限度を超えた分の自動免除
1ヶ月間の医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、高額療養費制度を利用することで、超えた分を請求することで払い戻しを受けられる仕組みがあります。この制度は、家計への負担を軽減するためのもので、非常に重要です。
通常、この制度を利用するには、事前に「限度額適用認定証」を申請し、医療機関の窓口で提示する必要があります。しかし、申請が間に合わない場合や、申請自体を忘れていた場合には、いったん全額を支払い、後日差額を請求する必要がありました。
しかし、マイナ保険証を利用する場合、この限度額適用認定証がなくても、各医療機関窓口で高額療養費制度が自動適用されます。これにより、患者は自己負担限度額までの支払いだけで済み、差額分を一時的に立て替える必要がなくなります。
6-2. 医療費控除の簡素化
医療費控除は、その年の同一家計内で支払った年間の医療費の総額が一定額1を超えた場合に適用される所得控除制度です。この控除を受けることで、納税額を軽減することができます。
通常、医療費控除を申請するには、「医療費控除の明細書」を作成し、各医療機関から発行された1年間分の医療費領収書をもとに整理する必要があります。この作業は手間がかかり、特に家族全体の医療費を集計する場合には非常に大変なものです。
しかし、マイナ保険証を利用している場合、マイナポータルによりe-Taxに連携し確定申告を行うことで、医療費控除申請に必要な情報を自動取得することができます。これにより、従来必要だった医療費領収書の収集や保管が不要となり、「医療費控除の明細書」も簡単に作成できるようになります。
医療費控除をe-Taxで行う場合、スマートフォンだけで手続き可能ですが、パソコン申告の際には「ICカードリーダー」が必要になります。市販されているマイナンバーカード対応リーダーは、セットアップも簡単で、確定申告・ふるさと納税・行政手続きにも使えます。価格も比較的安いため、毎年申告を行う方には1つ用意しておくと便利です。
👉ソニー 非接触ICカードリーダー/ライター PaSoRi RC-S300
6-3. 医療機関受診データ記録
マイナ保険証を利用することで、医療機関や薬局での受診情報や処方データが記録されます。よって、情報提供に同意することにより、医師や薬剤師に対して、過去に医療情報を正確に伝えることが可能となり、より適切な医療を受けることができます。
具体的には、過去薬局で調剤された薬、予防接種、乳幼児検診や妊婦健診結果などを医療機関に共有させることができます。これにより、不要な検査や重複投薬の防止、適切な薬剤選択や投与設計、健診履歴に基づいた健康管理の提案など、受ける医療の質を向上させることができます。
ただし、私が薬局に勤めていた昨年半ばにおいては、薬の情報にデータが反映されるまで1ヶ月程度はかかっており、直前に他薬局調剤された薬の併用チェックができなかった記憶があります。調べる限りは2024年時点でも変わっていないようです(ただし電子処方箋での調剤は即時反映)。このメリットを最大限活かすために、この点早めに改善を望みます。
7. まとめ
- (1)紙の健康保険証の廃止について
2024年12月2日より紙の健康保険証の新規発行および再発行が廃止されます。ただし、現行の健康保険証はその有効期限まで使用可能で、最長1年間(2025年12月1日まで)は引き続き利用できます。 - (2)資格確認書の交付
マイナンバーカードを持たない方、またはマイナンバーカードを健康保険証として紐づけていない方には、申請不要で「資格確認書」が自動交付されます。この資格確認書は従来の健康保険証と同等の役割を果たし、保険診療を受ける際に利用可能です。 - (3)マイナ保険証利用時の注意点
マイナ保険証を持っている方は、通常はそれを提示するだけで保険診療が受けられます。ただし、オンライン資格確認システムが未導入の医療機関では、「資格情報のお知らせ」またはマイナポータルの画面を提示する必要があります。また、万一のトラブルに備え、それらをすぐに提示できる状態にしておくと、円滑な受診が可能です。 - (4)マイナ保険証と資格確認書の選択
携帯性や簡便性では「資格確認書」が利点を持つ一方で、マイナ保険証には、医療費控除などの簡略化、医療機関との情報共有など、特に医療機関を頻用する方には相当なメリットが存在します。政府は最終的に、マイナ保険証への一本化を目指していますが、現在は「資格確認書」を選ぶことも可能です。
8. 制度変更ポイント(2025年12月追記)
2025年12月1日をもって紙の健康保険証は制度上失効しました。
しかしご安心ください。医療機関で保険診療を受ける際に提示できるものがなくなることはありません。
マイナ保険証、資格確認書、そして期限切れ保険証(2026年3月末までの特例措置)のいずれかで受診可能です。
2025年12月1日をもって、従来の紙の健康保険証は制度上の有効期限を迎えました。
このためSNSやニュースでは「12月1日で紙の保険証が使えなくなる」「忘れると10割負担」といった見出しも見られますが、実際にはもう少し丁寧な理解が必要です。
結論として、本記事で解説してきた内容と大きく変わる点はありません。保険で医療機関を受診したい場合は、次のいずれかを提示すれば問題なく受診できます。
- マイナ保険証(カード・スマホ版どちらでも可)
- 資格確認書(マイナ保険証を使わない方に自動交付される代替証)
ひとつ本記事に追加する内容として、制度上は紙の保険証が失効しましたが、有効期限が直前で切れてしまった方に不利益が出ないよう、2026年3月末までは「期限切れ保険証でも保険資格が確認できれば保険扱いにできる」という特例運用が認められたことです(ただし、あくまで医療機関側の暫定的措置であり、恒久対応ではありません)。
また、マイナンバーと健康保険証の紐付けをしていない方には、原則として資格確認書が自動発送されています。もし手元に届いていない場合は、
- 住所変更後の未更新
- 保険者(協会けんぽ・組合・自治体)による発送時期の差などの可能性があるため、早めに加入している保険者に確認することをおすすめします。
つまり、医療機関で保険診療を受ける際に“提示できるもの”がなくなることはない。このことをまず念頭に置いておきましょう。



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