16時間ファスティング完全ガイダンス

美容・ダイエット

1. はじめに ~ダイエットの意義~

昨今、肥満による生活習慣病を始め多くの疾患への影響、さらにはスリムな体型への憧れからダイエットが大変なブームとなっています。世の中には数多くのダイエットが存在しますが、その多くの効果は未知数であり、なかなか長続きしないのも事実です。また、たとえ効果があったとしても、リバウンドしやすかったり体に害を与えたりするものも少なくありません。

ダイエットにおいて、とても重要な点は3つあります。

  • 無理をせず、長続きすること
    基本ダイエットは長期にわたるものです。過剰なストレスにならず、自分の生活リズムや体質にあったものを選択することが重要です。
  • 長期的にも体に害がなく、健康的に痩せられること
    健康になるためにやせたのに、それが原因で体を壊しては本末転倒です。また、よりスリムになっても、見た目が不健康であれば意味がありません。
  • 楽で簡単に痩せられるダイエットはないこと
    ネット広告などでよく見かける「飲むだけで痩せる」「何を食べても痩せる」という謳い文句、こうした方法はよほどのリスクを取らない限り効果的とは言えません。

上記の重要事項を最大限満たせるものの一つが、16時間ファスティング(断続的断食)です。このダイエット法は、無理なく続けやすく、健康的に痩せることができるとされています。この記事では、16時間ファスティングの正しい方法を理解し、健康的に体重および脂肪を減少させる手助けをします。

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2. 16時間ファスティングとは?

2-1. 16時間ファスティングの基本的知識

16時間ファスティング(Intermittent Fasting; IF, 断続的断食)は、一定の時間内に食事を摂ることで、食べない時間(ファスティング期間)を設ける食事法です。一般的に、16時間のファスティングと8時間の食事時間を設ける16:8のパターンが人気です。例えば、夜の8時から翌日の正午までの16時間を食事しない時間とし、正午から夜の8時までの8時間内に食事を摂る方法です。

2-2. (16時間)ファスティングの歴史と起源

16時間ファスティングの概念は、現代の健康・フィットネス分野で広がる以前から、さまざまな形で人類の歴史に存在していました。以下に、16時間ファスティングの歴史と起源について詳細に説明します。

古代のファスティング
  1. 宗教的儀式と伝統医学:
    • 古代ギリシャ: ヒポクラテス(紀元前460-370年)は、ファスティングを健康維持や病気の治療に利用しました。彼の時代には、病気の治療法としてファスティングが広く受け入れられていました。
    • インドのアーユルヴェーダ: アーユルヴェーダ医学は、食事制限や断食を治療法の一環として取り入れており、身体の浄化やバランスの回復を目的としていました。
    • 宗教的断食: イスラム教のラマダン、キリスト教の四旬節、ユダヤ教のヨム・キプルなど、さまざまな宗教が断食を重要な儀式として実践しています。これらの断食は、精神的浄化や宗教的な自己制御を目的としています。
近代のファスティング
  1. 20世紀初頭の健康運動:
    • 自然療法と断食: 19世紀末から20世紀初頭にかけて、自然療法や健康運動が台頭し、断食が健康改善やデトックスの方法として注目されました。アメリカの健康運動家であるバーナード・マクファーデン(Bernarr Macfadden)は、断食が健康に与える効果を強調し、多くの人々に影響を与えました。
現代の16時間ファスティング
  1. 科学的研究の進展:
    • サチン・パンダ博士の研究: カリフォルニア州ソーク研究所のサチン・パンダ博士は、時間制限食事法(Time-Restricted Eating, TRE)に関する重要な研究を行いました。彼の研究は、日中の特定の時間帯に食事を摂り、その他の時間は断食することが健康にどのように影響を与えるかを示しています。彼の研究は、現代の16時間ファスティングの科学的基盤を築きました。
    • Valter Longo博士の研究: 南カリフォルニア大学のヴァルター・ロンゴ博士も、断続的ファスティングと長寿の関係について研究を行い、その健康効果を実証しました。
  2. フィットネスとウェルネスのトレンド:
    • 21世紀初頭から、フィットネス業界やウェルネスコミュニティで断続的ファスティングが広まりました。これにより、16時間ファスティングは体重管理や健康改善の手段として一般的になりました。特に、ブログやソーシャルメディアを通じて、多くの人々が自身の成功体験を共有し、16時間ファスティングの人気が高まりました。

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2. 16時間ファスティングの基本的原理

16時間ファスティングは、科学的に確かな根拠に基づくダイエット法です。その基本原理を理解することで、どのような効果が期待できるかを具体的にイメージでき、ダイエット最大の敵である途中で諦めてしまうことを減らす助けになります。以下に、柱とも言える3つの基本原理を紹介します:

2-1. グリコーゲンの枯渇と脂肪分解

16時間ファスティングは、体内の代謝プロセスに重要な影響を与えます。ファスティングが始まると、体はまず肝臓に蓄えられたグリコーゲンをエネルギー源として使用します。このグリコーゲンが枯渇すると、体は脂肪を分解してケトン体を生成し、エネルギー源として利用し始めます。以下に、具体的な時間経過に伴う代謝プロセスの変化を説明します:

  1. 食後直後(0~2時間)
    グリコーゲンの合成】食事を摂取すると、消化・吸収された炭水化物が血糖値を上昇させます。インスリンの分泌が促進され、グルコースは肝臓と筋肉に取り込まれ、グリコーゲンとして貯蔵されます。この段階では、体はエネルギーを豊富に供給されているため、脂肪分解(リポリシス)は抑制され、脂肪は貯蔵に回されます。
    脂肪分解の抑制】インスリンの作用により、脂肪細胞からの脂肪酸の放出が抑制されます。したがって、食後直後はエネルギー供給の主役はグリコーゲンであり、脂肪分解は最小限に抑えられています。
  2. 食後数時間(2~6時間)
    グリコーゲンの利用: 食後数時間が経過すると、血糖値が徐々に低下し、インスリンの分泌も減少します。この段階では、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンが分解され、血糖値を維持するためにグルコースが放出されます。
    脂肪分解の開始: インスリンの低下に伴い、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)が活性化され、脂肪細胞から脂肪酸が放出され始めます。ただし、この段階ではグリコーゲンがまだ残っているため、脂肪分解の役割は限定的です。
  3. 食後さらに時間が経過(6~12時間)
    グリコーゲンの消耗: 食事を摂らずに6~12時間が経過すると、肝臓のグリコーゲンがかなり消耗されます。これにより、血糖値を維持するためのエネルギー供給が減少し、体は他のエネルギー源を探し始めます。
    脂肪分解の増加: グリコーゲンが減少することで、脂肪分解が活性化され、脂肪酸がエネルギー源として使用され始めます。これにより、血中に遊離脂肪酸が増加し、肝臓でケトン体の生成も始まる可能性があります。
  4. 絶食状態(12時間以降)
    グリコーゲンの枯渇: 12時間以上食事を摂らない状態が続くと、肝臓のグリコーゲンはほぼ枯渇します。筋肉内のグリコーゲンはまだ残っている可能性がありますが、血糖値を維持するための主要なエネルギー源はもはやグリコーゲンではありません。
    脂肪分解とケトン体生成の主役化: この段階では、脂肪分解が主要なエネルギー供給手段となり、脂肪酸が肝臓でケトン体に変換されます。これにより、脳や他のエネルギー依存性の器官に供給されるエネルギーが確保されます。

2-2. オートファジー

オートファジー(自己貪食)は、細胞が自身の不要な部分を分解・再利用するプロセスで、断食期間中に活性化されます。16時間ファスティングは、このオートファジーを促進し、細胞の修復や再生を助けるとされています。オートファジーの活性化により、老化の遅延や病気の予防が期待されます。

オートファジー(自己貪食)とは、細胞が自己の古くなったり損傷を受けたりした部分を分解し、再利用するプロセスです。これは、細胞が飢餓状態に適応するための生存メカニズムであり、不要な細胞成分を除去し、新しいタンパク質や細胞膜を生成するために利用されます 。

2-2-1. オートファジー(自食作用)とは

オートファジーは、細胞が自分の構成要素を分解し、リサイクルするプロセスです。この過程では、古くなった細胞内のタンパク質や損傷したオルガネラ(細胞内小器官)が分解され、新しいタンパク質やオルガネラの構築に利用されます。オートファジーは細胞の健康を維持し、ストレス応答や代謝調整に重要な役割を果たします。

2-2-2. 16時間ファスティングとオートファジーの関係

断食(特に16時間ファスティング)のような長時間の食事制限は、体内の栄養素レベルを低下させ、オートファジーを促進します。通常、食事を摂るとインスリンが分泌され、細胞の成長や新陳代謝が活性化されますが、断食状態になるとインスリンの分泌が抑制され、オートファジーが活性化されます。

特に、絶食が12時間を超えると、体内のグリコーゲン貯蔵が減少し始め、エネルギー供給のために脂肪酸やケトン体の利用が増加します。このとき、オートファジーが細胞内の不要物をエネルギー源として利用し、細胞の浄化とリサイクルを進めることで、細胞の健康を保ちます。

2-2-3. オートファジーの健康効果

オートファジーの活性化は、加齢関連疾患、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病)、さらにはがんなどの予防や治療においても重要であるとされています。断食を通じてオートファジーを誘導することで、細胞の健康を維持し、老化プロセスを遅らせる可能性があります

2-3. インスリン感受性の改善

16時間ファスティングは、インスリン感受性を改善する効果があるとされています。インスリン感受性とは、細胞がインスリンにどれだけ効果的に反応して、血糖をエネルギーとして利用できるかを示す指標です。インスリン感受性が高いほど、血糖値が安定し、脂肪の蓄積が抑えられます。逆に、インスリン感受性が低いと、体内で余分な糖が脂肪として蓄積されやすくなり、体重増加や2型糖尿病のリスクが高まります。

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3. 16時間ファスティングのメリットとデメリット

16時間ファスティングには多くのメリットがありますが、適切な方法で行わないとデメリットもあります。科学的根拠に基づいた情報を元に、正しく取り組むことで、健康効果を最大限に引き出すことができます。

3-1. 16時間ファスティングのメリット

  1. 体重減少と体脂肪の減少
    断食によりエネルギー源がグリコーゲンから脂肪にシフトし、脂肪燃焼が促進されます。
  2. 心血管系の健康改善
    断食により血圧やコレステロール値が改善され、心血管系の健康が向上します。
  3. エネルギーレベルの向上と集中力の増加
    ケトン体の生成により、持続的なエネルギー供給が可能となり、エネルギーレベルが向上します。また、空腹時のホルモンバランスの変化が集中力の増加に繋がります。
  4. 胃腸の働きの活発化: 断食期間中に消化器官が休息を得ることで、消化機能がリセットされ、食事再開後に消化器官の働きが活性化されます。
  5. 腸内フローラの改善: 断続的ファスティングが腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを改善します。

3-2. 16時間ファスティングのデメリット

(1)空腹感
断食期間中は強い空腹感を感じ、これが継続の最大の障害となることがあります。しかし、継続することで体が慣れてくることがわかっています。また、これはある程度対策を立てることができます。具体的には、睡眠時間と空腹期間を同期させたり、水分をこまめに摂取することです。

(2)栄養不足のリスク
食事回数や時間が限られるため、必要な栄養素を十分に摂取できないリスクがあります。特に、ビタミン、ミネラル、タンパク質などの重要な栄養素が不足する可能性があります。以下、特に不足しがちな栄養素と、不足による身体への影響、それらを補うための食材を記します。

  • タンパク質: 筋肉の維持と修復、免疫機能の維持に必要です。
    良質なタンパク質である、鶏肉、魚、豆腐、納豆、卵、ギリシャヨーグルトなどの食材摂取で
  • ビタミンB群: エネルギー代謝や神経機能の維持に必要です。
    対策】全粒穀物、豆類、ナッツ、緑黄色野菜、卵などの摂取。
  • ビタミンD: 骨の健康と免疫機能に必要です。
    対策】サーモンやサバなどの脂肪の多い魚、卵黄、強化食品(ビタミンD添加ミルクやシリアル)を摂取。日光浴も有効です。
  • カルシウム: 骨と歯の健康、筋肉の収縮、神経伝達に必要です。
    【対策】: 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)、葉物野菜(ケール、ブロッコリー)、豆腐、アーモンドなどの食品を摂取。
  • 鉄分: 血液の酸素運搬、エネルギー代謝に必要です。
    【対策】: 赤身肉、鶏肉、魚、豆類、ほうれん草、強化シリアルなどを摂取。ビタミンCと一緒に摂ると吸収が良くなります。
  • オメガ-3脂肪酸: 心血管系の健康、脳機能の維持に必要です。
    対策】: サーモン、マグロ、イワシ、アマニ油、チアシード、くるみなどを摂取。
  • マグネシウム: 神経機能、筋肉機能、骨の健康に必要です。
    対策】: ナッツ(アーモンド、カシューナッツ)、豆類、全粒穀物、葉物野菜、バナナ、アボカドを摂取。

簡単なサプリメントの利用: 食事から全ての栄養素を摂取するのが難しい場合、手頃な価格のマルチビタミンサプリメントを利用します。

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4. 16時間ファスティングの導入方法・進め方

16時間ファスティングを始める際には、単に16時間食べない時間を作れば良いわけではありません。このダイエット法が健康を維持しながら行うものであることを理解する必要があります。デメリットをできる限り避け、健康を損なうことなく効果的に行うためには、いくつかのポイントを考慮することが重要です。

具体的には、ファスティングの時間が自分の生活リズムに合っているか、3食から2食に減らしても必要な栄養をしっかり摂ることができるかを事前に計画する必要があります。また、無理なく続けられる方法を見つけることで、健康を保ちながら効果的なダイエットを実現することが可能です。次に、具体的なステップを説明します。

4-1. 準備期間

  • 食事の時間を調整する:
    目的: 16時間ファスティングに慣れるためには、準備期間中に通常の食事時間を少しずつ調整し、1日のうち8時間の間に食事を収めるようにします。例えば、夕食を少し早めに摂るか、朝食を遅めにすることで、自然に断食期間を延ばしていきます。このように、食事時間を段階的に調整することで、体が新しいリズムに順応しやすくなるとされています。
  • 栄養バランスの再確認:
    時間制限食における栄養バランスの重要性が強調されています。
    目的: 3食から2食に減らすことで栄養不足に陥らないよう、準備期間中に摂取する栄養素のバランスを再確認します。特に、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどが不足しないように、食事の内容を見直します。
    具体例: 例えば、朝食をスキップする場合、昼食と夕食にタンパク質源(鶏肉、豆類、魚など)を必ず含め、全粒穀物や野菜を豊富に摂取するようにします。

4-2. 食事可能時間の設定

大きく2パターンに分けられ、朝食を摂る場合と夕食を摂る場合となります。

(1)朝食と昼食を摂る場合(例:朝7時~午後3時)

朝昼型のメリット

  • エネルギー代謝の向上: 朝食は1日のエネルギー消費を促進し、基礎代謝を維持するのに役立ちます。
  • ホルモンバランスの調整: インスリン感受性の向上やコルチゾールの分泌調整により、血糖値の安定やストレスの軽減が期待できます。
  • 体内時計のリセット: 朝食が概日リズムをリセットし、1日の活動リズムを整えます。
  • 睡眠の質の向上: 昼間の活動が活発になり、夜間の睡眠の質が向上します。

朝昼型のデメリット

  • 夜間の空腹感: 昼以降に食事を摂らないため、夜遅くに空腹感を感じやすく、場合によっては眠りに影響が出る可能性があります。
  • 社会的な制約: 夕食を友人や家族と共にする機会が減るため、社会的なつながりが制限されることがあります。

(2)昼食と夕食を摂る場合(例: 昼12時〜夜20時)

【昼夕型のメリット】

  • 夜間の充足感: 学業や仕事を終えた後で、夕食を楽しんで摂ることにより、夜間の空腹感を防ぎ充足した夜の生活を送ることができます。
  • 生活リズムの維持:多くの人が昼食と夕食を摂る時間帯に一致しているため、日常生活のリズムを維持しやすく、社会とのつながりを維持することができます。

【昼夕型のデメリット】

  • 朝食メリットの欠如: 前述の朝食を摂った場合のメリットが、すべて得られなくなります。
  • 代謝の影響: 夕食があまり遅い時間になってしまうと、夜間のエネルギー消費が低いために脂肪に蓄えられやすくなり、胃腸が活発化するため睡眠に影響が出る場合があります。

健康面や体重への影響を考慮すれば、朝昼食型の方が優れていると言えます。しかし、時間帯を工夫することで、昼夕食型でも十分に16時間ファスティングのメリットを享受することが可能です。最終的には、自分のライフスタイルに合った方法を選び、長期間続けられることが最も重要です。

4-3.断食期間の過ごし方

4-3-1. 水分の少量ずつこまめな摂取

断食の大敵は空腹感です。その空腹感を紛らわせるためには、水分をこまめに摂取することが有効です。また、脱水症状を防ぐこともできます。断食期間中であっても、カロリーのない飲料であれば摂取が許されています。飲料水としては、ミネラルウォーターや炭酸水、ノンカフェインのお茶(麦茶やルイボスティーなど)が推奨されます。これらの飲料は水分補給をサポートしつつ、カロリー摂取を避けることができます。

特にルイボスティーは、ノンカフェインであるだけでなく、抗酸化作用を持つポリフェノールを豊富に含むため、断食期間中の水分補給に適しています。また、ルイボスティーには香りがあり、飲むことで変化を楽しめるため、空腹感を紛らわせる効果も期待できます。

4-2-2. 睡眠時間の確保

睡眠不足に陥ると、体重増加を引き起こすメカニズムが示されています。具体的には、食欲抑制ホルモンであるレプチンが減少し、食欲増進ホルモンであるグレリンが増加することで、食欲が増してしまいます。このホルモンバランスの乱れが、過剰なカロリー摂取と体重増加につながることが確認されています。

さらに、十分な睡眠を取ることは、ダイエット中のストレス軽減にも寄与します。睡眠は身体の回復とリセットを促し、精神的な安定にも重要です。また、睡眠時間そのものを断食時間として利用できるため、ファスティングを行う際には十分な睡眠を確保することが強く推奨されます。

4-3-3. 適切な運動の取り入れ方

(1)運動の種類

  • 軽度から中程度の運動:
    ウォーキング、ジョギング、ヨガなどの軽度から中程度の有酸素運動は、断食中に行うのに適しています。これらの運動はエネルギー消費が大きくなく、体に過剰な負担をかけずに脂肪燃焼を促進します。
  • 高強度インターバルトレーニング(HIIT):
    断食中に行う場合、高強度インターバルトレーニング(HIIT)は短時間で効果を上げる運動法ですが、断食期間が長い場合やエネルギー不足を感じるときには慎重に取り入れる必要があります。

(2)運動のタイミング

  • 断食期間の終盤に運動を行う:
    断食時間が終了する直前に運動を行うことで、運動後すぐに食事を摂ることができ、筋肉の修復やエネルギー補給が効率的に行えます。これにより、筋肉の分解を防ぎ、運動効果を最大限に引き出すことが可能です。
  • エネルギーレベルに応じた運動:
    断食中の運動は、個々のエネルギーレベルに応じて調整することが重要です。疲労感が強い場合は軽い運動にとどめ、エネルギーが十分にあると感じるときに、より強度の高い運動を行うことが推奨されます。

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5. 16時間ファスティングが適していない人

16時間ファスティング(16:8断続的ファスティング)は、多くの人にとって健康的な食事法として知られていますが、全ての人に適しているわけではありません。逆に、害になってしまうこともありえます。以下に、16時間ファスティングが適していない人の特徴を、科学的なエビデンスに基づいて説明します。

(1)妊娠中または授乳中の女性:
妊娠中や授乳中の女性は、胎児や乳児の健康を維持するために十分なカロリーと栄養素を摂取する必要があります。16時間ファスティングはこれらの栄養要求に応えられない可能性があり、推奨されません。

(2)成長期の子供や青年:
成長期の子供や青年は、体の発育と発達のために十分なエネルギーと栄養素を摂取する必要があります。断続的ファスティングは、必要な栄養を十分に摂取できないリスクがあるため、推奨されません。

(3)慢性疾患や特定の健康状態を持つ人:
糖尿病や心疾患などの慢性疾患を持つ人は、医師の監督なしで断続的ファスティングを行うと健康に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの人々は、特定の食事スケジュールや栄養管理が必要があります。

(4)摂食障害の既往がある人:
断続的ファスティングは、摂食障害の既往がある人にとっては再発のリスクを高める可能性があります。食事の制限が過度になることで、健康に悪影響を与える可能性があります。

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6. よくある質問と回答

質問1: 8時間の摂食期間中は何を食べても良いのですか?

回答: ネット上の情報で、8時間の摂食期間中に「何を食べても良い」という文言を時々目にすることがありますが、この考え方は誤解を招く可能性があります。好きなものを好きなだけ食べても良いと受け取ってしまう方もいますが、当然そんなことはありません。言い換えれば、「ダイエット中でも甘いものや脂っこい好きなものを摂っても良いけれど、質や量を考慮することが大切だ」ということです。
 16時間ファスティングの効果を最大化し、健康を維持するためには、摂食期間中に摂取する食品の種類と質が非常に重要です。例えば、精製された炭水化物や高カロリーの加工食品を大量に摂取すると、血糖値の乱高下やインスリン感受性の低下を引き起こし、体重増加のリスクが高まります。また、栄養価の低い食品ばかりを摂取すると、栄養不足になり、逆に健康を損なう可能性もあります。

質問2: 16時間ファスティングは毎日しないといけないのですか?

回答: 16時間ファスティングは、必ずしも毎日行う必要はありません。週に2〜3日、または5日間のファスティングでも効果的です。週に2〜3日の実践では、体重管理や代謝健康の改善に十分な効果が期待できます。毎日行う場合に比べて効果がやや緩やかになる可能性がありますが、頻度を減らしてもファスティングの効果を得ることは可能です。
 個々のライフスタイルや健康状態に応じて、無理なく継続できる頻度を選び、必要に応じて医師や専門家と相談して実施することが推奨されます。

質問3: どの程度の期間続けて効果を見るべきですか?効果が出なければ他のダイエット法に変えるべきですか?

回答: 16時間ファスティングの効果が現れるまでには、個人差がありますが、通常は少なくとも4〜8週間続けることが推奨されています。この期間中に体重減少やインスリン感受性の改善、エネルギーレベルの向上など、いくつかの効果が現れることが期待できます。
 効果が出ないと感じた場合、ファスティングの頻度や食事内容を再評価することが重要です。例えば、栄養バランスが偏っていたり、摂取カロリーが多すぎたり少なすぎたりする場合は、結果が出にくくなることがあります。ファスティング自体が合わない場合や、4〜8週間以上続けても効果が実感できない場合は、他のダイエット法(地中海式ダイエット法など)を検討するのも一つの選択肢です。

質問4: 空腹感が慣れない場合どうしたら良いですか?

多くの場合に空腹感は、ファスティング開始直後は非常に強くなりますが、体が新しい食事パターンに慣れると、空腹感は徐々に軽減される傾向があります。ただどうしても空腹感になれない場合もあると思われるので、以下対策を載せておきます

  • ノンカロリーの水分補給を増やす
  • 摂食期間中に食物繊維の多い食品の摂取を増やす
  • 空腹時に軽い運動を試す
  • 断食期間の短縮を試す

質問5: ファスティング中はサプリメントを積極的に摂取すべきですか?

回答: 断食期間中にサプリメントを摂取するかどうかは、個々の栄養ニーズと食事内容に依存します。基本的には、栄養バランスが取れている食事を摂取できている場合、必ずしもサプリメントを摂取する必要はありません。しかし、特定の栄養素が不足しがちな場合や、特定の健康状態にある場合には、サプリメントを摂取することが推奨されることがあります。

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7. 16時間ファスティングについてのまとめ

  • 16時間ファスティングとは、16時間は断食期間とし、残りの8時間に何回かに分けて食事を摂取することができるダイエット法を言う
  • 断食期間は睡眠時間も含むため、比較的他の断食ダイエットよりも精神的かつ肉体的負担が少ない
  • 摂食できる8時間に何を食べても良いわけではなく、栄養バランスと食事の質を考慮することが重要です。これを守れば、適度に好きなものを楽しむことも可能である
  • メカニズムとしては、グリコーゲンの枯渇と脂肪分解、オートファジー、インスリン感受性の改善が3つの柱である
  • メリットとしては、体重減少の他、心血管系の健康改善、集中力の向上、胃腸の休息と負担の軽減、腸内環境の改善など様々な効果がある
  • デメリットとしては、強い空腹感があるが、次第に体が慣れてくることが多い。栄養不足が最大のデメリットであり、開始前にある程度の食事の計画や、サプリで補うことも考慮する。
  • ファスティングを始める際は、まずは短めの断食期間から始め、体が慣れてきたら徐々に断食時間を延ばすことが推奨される。その後も体調や生活リズムに合わせてファスティングの時間を調整していくと良い。
  • 摂食時間の設定は大きく2つに分けられ、よりファスティング効果を得られる朝昼食事型、他人との生活リズムを合わせやすく夜間の満足感を得やすい昼夕食型があり、睡眠時間を考慮すると昼夕食型が現実的である。
  • 断食期間には、よりこまめなノンカロリー水分の補給、睡眠時間の確保、空腹感を和らげるために軽度から中程度の運動が推奨される。
  • 16時間ファスティングが適正してない方もあり、十分な栄養素とカロリーが必要な授乳中または妊娠中の方および成長期の子供、慢性疾患や特定の健康状態を持つ人、摂食障害の既往がある人などは、どうしてもしたいときは専門医などに相談をすること。
  • 16時間ファスティングは、効果を実感するために最低4~8週間続けることが推奨される。逆にあまり続けても効果がなければ、食習慣の改善や他のダイエット法への変更も考慮するべきである。
  • ファスティング時間は絶対16時間でないといけないわけでなく、体調や目的によって変更しても可。逆により効果をもたらしたいときは、体調と栄養摂取を十分考慮した上でさらに時間を厳格にしても良い。
  • ダイエットは16時間ファスティングに限らず、最大の目的は健康になるためである。どうしても体重を減らしたいときは、十分体のことを思い計って続けるが望まれる。

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