円形脱毛症の原因と向き合うための基礎知識

皮膚疾患
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本稿は、最新の診療ガイドライン[1]に基づき記述しています。

1. 円形脱毛症の基礎知識

1-1. 円形脱毛症とは?

円形脱毛症(alopecia areata:以下 AA)は、典型的には円形から類円形の脱毛斑(脱毛巣)が現れる後天性で、脱毛した部分に傷跡や瘢痕が残らないタイプの脱毛症です。脱毛症の中でも高頻度で見られ、皮膚科ではよく診察される疾患であり、一般的にも広く認知されています。症状が軽度であれば自然に回復することもありますが、重症例では広範囲にわたる脱毛が生じることがあります。生命に危険はありませんが、外見に対する心理的な影響が大きいため、精神的な負担や生活の質(QOL)の低下を招くことがあり、そのため早期の治療が推奨されることが増えてきています。

1-2. 円形脱毛症のメカニズム

円形脱毛症は、免疫系が誤って自分の毛包を攻撃することによって起こる自己免疫疾患が有力とされています。毛包の周囲では、免疫細胞が集まって攻撃を繰り返し、成長期の毛包が正常に機能できなくなります。この過程で、免疫反応が増幅される仕組みが働くことで、脱毛が進行することが特徴です。

また、円形脱毛症を持つ患者では、他の自己免疫疾患を併発するケースが多いことからも、この病気が自己免疫的な性質を持つことを裏付けています。

1-3. 円形脱毛症の疫学

円形脱毛症は、世界中で広く見られる疾患であり、発症年齢や性別に偏りがあることが知られています。日本における疫学的データでは、約0.1~0.2%の人口が生涯に一度は円形脱毛症を経験するとされています。また、円形脱毛症は年齢に関係なく発症する可能性がありますが、特に10歳から30歳の若年層に多く見られます。

性別による発症率に関しては、男女ともに発症する可能性がありますが、女性の方がやや高い傾向が示されています。また、家族歴なども関連があるとされています。

合併症としては、アトピー性皮膚炎などのアトピー素因を持つ患者において、重症化する傾向があると言われています。また、ピロリ菌感染、鉄欠乏性貧血、ビタミンD不足、聴力や眼球の異常などが明らかに高い頻度で合併していることが報告されています。

1-4. 円形脱毛症のリスク要因

円形脱毛症の発症にはさまざまなリスク要因が関与しており、遺伝的な素因に加え、環境的要因や免疫系の異常などが重要な役割を果たします。

(1) 遺伝的要因
円形脱毛症には遺伝的素因が関与することが多く、特に家族歴がある場合、発症リスクが高くなることが示されています。免疫系に関連する遺伝子(例:HLA遺伝子)が関与している可能性があり、遺伝的要因が発症の引き金となることがあります。

(2) 精神的・身体的ストレス
精神的なストレスや身体的な負担も円形脱毛症の引き金となることがあります。特に過度のストレスや急激な体重の減少、大きな病気を経験した後などに発症が見られることがあります。ストレスが免疫系に影響を与え、自己免疫反応を引き起こすと考えられています。

(3) ホルモンの影響
ホルモンの変動も円形脱毛症のリスク要因の一つとして挙げられます。特に女性の場合、妊娠や出産、更年期などのホルモンバランスが変化する時期に発症が見られることがあります。

(4) その他の環境的要因
感染症や外的な刺激(薬剤、化学物質など)も円形脱毛症の発症に関与することがあります。特に風邪やインフルエンザなどの感染症後に発症することが報告されており、免疫系のバランスが崩れることで脱毛を引き起こす可能性があります。

1-5. 円形脱毛症とアトピー素因

円形脱毛症の患者を対象とした研究では、アトピー素因(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など)を有する割合が一般人口に比べて高いことが報告されています。ある調査では、円形脱毛症患者の半数以上が何らかのアレルギー疾患を合併しており、別の報告では、円形脱毛症患者の20%以上がアトピー性皮膚炎を合併していることが示されています。

さらに、アトピー性皮膚炎を合併している患者群では、円形脱毛症の重症度が高くなる傾向が報告されています。非合併群と比較しても、広範囲型や慢性難治性の症例が多く見られることが統計的に有意に示されています。

病理学的に見ると、アトピー素因を持つ円形脱毛症患者では、毛包周囲の炎症がより強く、炎症性サイトカインの発現が増加していることが確認されています。これにより、免疫系のバランスが Th2 優位に傾き、毛包に対する自己免疫的攻撃が増幅される可能性が指摘されています。

したがって、円形脱毛症とアトピー素因の関連は強く示唆されており、アトピー素因を合併している患者はより重症化に対し注意が必要と考えられます。しかし、アトピー素因が円形脱毛症の発症や重症化にどのように関与するのか、その詳細なメカニズムは未解明な点が多く、今後さらなる研究が求められています。

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2. 円形脱毛症の種類

円形脱毛症というと「10円玉程度の丸い脱毛斑がある」というイメージが一般的ですが、実際には症状や脱毛の範囲によりいくつかの種類があります。一部は軽症で自然に治癒する場合もあれば、重症例では全身の毛が抜け落ち、治療が長期化することもあります。以下に、代表的な種類を解説します。

(1) 通常型
典型的な円形や楕円形の脱毛斑が斑状に現れるタイプで、多くの患者にみられる症例です。

  • 単発型:脱毛斑が1箇所のみに起こる、最も軽い症例。半年以内に4割は治癒します。
  • 多発型:脱毛斑が複数にわたるタイプ。脱毛斑が融合したり再発を繰り返し、慢性化しやすい特徴があります。

(2) 全頭型
脱毛が頭部全体に及ぶタイプで、多発型が進行して発生することが多いです。治療に長期間を要し、自然治癒はほとんど期待できません。

(3) 汎発型
頭部全体に加え、眉毛、まつ毛、体毛を含む全身の毛が抜け落ちる重症例です。全頭型と同様、治療が非常に難しく、長期間を要します。

(4) 蛇行型
髪の生え際が帯状に抜け落ちるタイプで、後頭部から側頭部に沿って症状が広がるのが特徴です。慢性化しやすく、治療が困難な場合があります。

(5) 逆蛇行型
蛇行型とは逆で、前頭部から頭頂部にかけて帯状に脱毛が進行します。

(6) びまん型
境界が明確ではなく、頭部全体に広がる脱毛が特徴です。他の型と比較して、診断に時間がかかる場合があります。

その他にも、円形脱毛症には脱毛が急速に進行する「急速進行型」と呼ばれる病型があります。このタイプは全頭型や汎発型に移行して慢性化することもありますが、一部には「急性のびまん型全脱毛症(acute diffuse and total alopecia)」と呼ばれる亜型があり、自然に回復する例もあります。

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3. 円形脱毛症治療に対する考え方

まず大前提として、円形脱毛症は生命に関わる病態ではありません。しかし、脱毛による外見の変化が精神的な負担となり、QOL(生活の質)を大きく損なう可能性があります。治療に関しては、経済的・身体的・精神的な負担が伴うこともあり、必ずしもすべての患者に積極的な治療が必要とは限りません。そのため、患者の社会的背景や価値観、病態の重症度、進行速度、年齢などを総合的に考慮し、「治療を行わず、経過観察のみとする」という選択肢も存在します。

従来、円形脱毛症の治療方針を一律に決定することは困難とされ、画一的な治療アルゴリズムを確立することは難しいと考えられていました。基本的な治療方針は、患者本人および家族の意向、医師の判断、さらには保険適用の有無などを踏まえて決定されます。しかし近年では、円形脱毛症の治療方針をより効率的かつエビデンスに基づいて選択するための指標として、「AA-Cube」が提唱されています。「AA-Cube」は、病態の重症度や進行度、患者の年齢や生活への影響などを考慮し、適切な治療法を選択する際の指針として活用されています。以下の図は文献[2]を参照して作成されています。

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4. 円形脱毛症の治療

現在、民間療法などを含めると、さまざまな円形脱毛症に対する方法が存在します。今回解説するのは、その中でも最新のガイドラインにおいて、最も推奨されているものや皮膚科にてよく使用されている治療法を紹介します。推奨度は高い順から1, 2、エビデンスレベルは高い順からA, B, Cとしています。

4-1. ステロイド局所注射療法(推奨度:1, エビデンスレベル:B)

ステロイド局所注射療法(局注)は、脱毛部位に直接ステロイドを注入する治療法で、特に脱毛斑が少数の場合に効果的とされています。臨床試験では、高い効果が確認されており、多くの症例で毛髪再生が見られます。

ただし、広範囲の脱毛では注射回数が増え、薬剤総量が増加するため、副作用のリスクが高まります。また、小児への使用は、注射の痛みや安全性の観点から推奨されていません

【メリット】

  • 手間が少ない:毎日の治療が不要で、2~4週に1回程度の通院で処置可能。
  • 費用が安価:長期治療でも比較的経済的負担が少ない。

【デメリット】

  • 疼痛の伴う処置:注射時の痛みがあり、特に小児には推奨されません。
  • 副作用のリスク:長期間や高用量の投与で全身性の副作用(緑内障、骨粗鬆症など)が発現する可能性があります。
  • 定期通院が必要:医療機関での処置が必要なため、通院の手間が生じます。

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4-2. 局所免疫療法(推奨度:2, エビデンスレベル:B)

局所免疫療法とは、脱毛部位に人工的に「カブレ」を引き起こすことにより、免疫バランスを変化させることにより発毛を促す方法です。現在円形脱毛症治療の中では、その効果と安全性から、最も施工されているものの一つです。一方で、甲状腺を疾患を伴う症例や汎発性では効果が落ちるとされたり、アトピー性皮膚炎を合併することが多いのですが、同療法により悪化することがあり注意が必要です。

【メリット】

  • 広範囲の脱毛に適応:多発型や全頭型などの重症例に対しても有効性が認められています。全年齢に推奨される治療法です。
  • 高い安全性:外用療法であるため、全身性の副作用はほぼありません。
  • 比較的安価:保険適用外ではあるものの、他の治療法と比べて経済的負担は大きくありません。

【デメリット】

  • 接触性皮膚炎の発生:治療の仕組み上、必ずかぶれが生じるため、一時的に頭部に炎症やかゆみが残ることがあります。
  • 一部合併症の悪化:アトピー性皮膚炎を合併している患者では、症状が悪化する可能性があるため慎重な判断が求められます。

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4-3. ステロイド外用療法(推奨度:1, エビデンスレベル:B)

ステロイド外用療法は、単発型や融合していない多発型の円形脱毛症に対して有効な治療法です。5段階に分類されるステロイドの強さの中で、strong(中程度の強さ)~strongest(最も強い)に分類される外用剤が用いられます。これを1日1~2回、脱毛部位に塗布することで治療を進めます。また、効果が出にくい難治性の脱毛には、ラップなどを用いた密封療法が併用されることもあります。

円形脱毛症に対する適応のあるステロイド外用薬は以下の通りとなります。

ランク主な製品名一般名剤型
最強ダイアコートジフロラゾン酢酸エステルク,軟
デルモベートクロベタゾールプロピオン酸エステルク,軟1
とても強いアンテベートベタメタゾン酸エステルプロピオン酸ク,軟,ロ
トプシムフルオシノニドク,ス,軟,ロ
フルメタモメタゾンフランカルボン酸エステルク,軟,ロ
マイザージフルプレドナートク,軟
リンデロンDPベタメタゾンジプロピオン酸エステルク,ゾ,軟
強いエクラーデプロドンプロピオン酸エステルク,軟,ロ2
リンデロンVベタメタゾン吉草酸エステルク,軟3
【剤型略語】ク:クリーム剤、ス:スプレー剤、ゾル剤軟:軟膏剤、ロ:ローション剤

剤型としては、ローションよりフォーム剤の方が有効性が高いとされていますが、適応のある薬剤の中には該当はありません。また、唯一シャンプーとして使用するクロベタゾール(コムクロシャンプー®︎)も、円形脱毛症の適応がありません。

【メリット】

  • 高い安全性:外用剤のため、全身性の副作用がほとんどありません。
  • 小児への適応:痛みを伴わず安全性が高いため、小児にも推奨されています。
  • 費用が安価:長期治療でも比較的経済的負担が少ない。

【デメリット】

  • 局所的な副作用:長期使用や密封療法によって、ニキビや毛包炎などの皮膚トラブルが発生する場合があります。
  • 手間がかかる:毎日の使用が必要で、患者や保護者の継続的な努力が求められます。

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4-4. JAK阻害剤またはその類似剤(推奨度:1, エビデンスレベル:A)

JAK阻害剤およびその類似剤は、円形脱毛症の治療において注目されています。円形脱毛症は自己免疫疾患とされ、過剰な免疫反応が脱毛の主要な原因と考えられています。JAK阻害剤はこの免疫反応を抑制することで、脱毛に対して効果を発揮します。特に、重症度の高い円形脱毛症の治療において、従来は効果的な治療法が不足していましたが、画期的な治療薬として登場しました。2022年にはJAK阻害剤としてバリシチニブ(オルミエント®︎)、2024年にはリトレシチニブ(リットフーロ®︎)が発売され、臨床での使用が進んでいます。

ただし、JAK阻害剤は免疫抑制作用を持つため、使用にあたっては慎重な判断が求められます。服用に関しては、特定の条件を満たす患者に限定され、いくつかの注意点があります。

JAK阻害剤に関するエビデンスは非常に強力であり、高い効果が示されていますが、専門家の意見として以下のような注意点も指摘されています。

  1. 薬価が高い:JAK阻害剤とその類似剤は比較的高価な治療薬であり、また、効果が認められるまでに半年程度の治療期間を要することがある。
  2. 免疫抑制による副作用:免疫抑制作用により、治療効果が現れる一方で、感染症などのリスクが生じる可能性がある。
  3. 長期使用による安全性不確立:長期間の服用による安全性はまだ確立されておらず、心血管リスク[3]など生命予後に影響を及ぼす可能性がある。
  4. 治療中断後の再発リスク:JAK阻害剤は円形脱毛症を完全に治癒させるわけではなく、服用を中止した場合には再発することがある。

これらの要点は、JAK阻害剤の使用に関するリスクと効果をバランスよく評価する際の重要な参考となります。治療に関しては、患者の状態を慎重に評価し、個別に対応することが求められます。

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4-5. 抗ヒスタミン薬内服療法(推奨度:2, エビデンスレベル:B)

抗ヒスタミン剤自体には、円形脱毛症(AA)の治療に対する明確な適応はありません。そのため、保険適用外となります。ただし、アトピー性皮膚炎などを併発している患者においては、アトピー素因を改善することを目的として有用であるとされています。このため、抗ヒスタミン剤は円形脱毛症に対して直接的な治療効果を持つのではなく、補助的な役割を果たすと考えられます。具体的には、第二世代抗ヒスタミン剤が選ばれることが多く、これには副作用が少なく、効果持続時間が長いフェキソフェナジン(アレグラ®︎)やエバスチン(エバステル®︎)などが含まれます。

したがって、抗ヒスタミン剤は単独で使用するのではなく、カルプロニウム外用薬、光線療法、局所免疫療法など、他の治療法と併用することが推奨されます。臨床試験においても、抗ヒスタミン剤を含む併用療法は、単独治療に比べて高い有効性を示すことが報告されています。

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4-6. その他よく用いられる治療法

円形脱毛症の治療では、使い勝手の良さや経済的な観点から、継続しやすい治療法が選択されることもあります。ここでは、比較的安全性が高く、軽症例や併用療法として用いられる治療法を紹介します。

(1) カルプロニウム(フロジン®︎)外用療法
カルプロニウム塩化物外用液は、血管拡張作用を持ち、頭皮の血流を改善することで発毛を促すとされています。単発型や軽度の多発型円形脱毛症に対して使用され、1日2〜3回、軽くマッサージするように塗布します。長年にわたり使用されており、安全性も確立されていることから、軽症例における第一選択肢の一つとして推奨されることが多いです。ただし、強いエビデンスがあるわけではなく、補助的な役割として位置づけられています。

(2) ミノキシジル外用療法
ミノキシジルは、もともと男性型脱毛症(AGA)や女性のびまん性脱毛症の治療薬として承認されている薬剤ですが、円形脱毛症に対する有効性も一部の研究で示唆されています。特に、5%濃度のミノキシジル外用薬を使用した場合、比較的広範囲の脱毛に対して一定の効果を示す可能性があると報告されています。ただし、そのエビデンスはAGAに比べて弱く、単独での使用よりも他の治療法との併用が推奨されることが多いです。

(3) 冷却療法
液体窒素を圧抵法またはジェット噴射により患部へ適用し、発毛を促す方法です。皮膚科領域では、尋常性疣贅(いぼ)の治療などで広く使用されており、安全性が高いとされています。円形脱毛症に対しても一定の効果が報告されていますが、現在のところ保険適応外の治療法です。そのため、主に他の治療法と併用する形で選択されることが多く、特に単発型や軽症例の補助療法として用いられることがあります。

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5. 円形脱毛症の予防的アプローチ

円形脱毛症は治療が中心ですが、予防的なアプローチも存在します。特に、免疫系やストレスとの関わりが指摘されているため、生活習慣や心身のケアが重要であり、以下の予防的アプローチが考えられます。

(1) ストレス管理
円形脱毛症の発症には精神的なストレスが関与することがあります。ストレスを軽減することが予防につながる可能性があります。以下の方法が有効です:

  • 趣味や遊び:好きなことをする時間を持つことで、精神的なリフレッシュを図る
  • リラクゼーション法:ヨガ、深呼吸、瞑想などで心を落ち着ける
  • 適度な運動:ウォーキングや軽い運動を通じてストレスを減少させる

(2) 睡眠の質の向上
十分な睡眠は免疫系を正常に保つために不可欠です。睡眠不足が免疫力を低下させ、脱毛症を引き起こす可能性があるため、規則正しい生活と睡眠習慣を維持することが予防に役立ちます。

(3) 栄養バランスの取れた食事
髪の健康には、ビタミンやミネラルが重要です。特に、以下の栄養素が不足しないように心掛け、栄養が偏らないよう、バランスの取れた食事を意識しましょう。

  • ビタミンD:毛根の成長サイクルを正常に保ちます。
  • ビタミンB群:毛髪の成長に関与しています。
  • 亜鉛鉄分:髪の健康に必須のミネラルです。

(4) 過度な髪の引っ張りを避ける
髪に強い力を加えることで脱毛症を引き起こすこともあります。髪を引っ張る習慣や、過度に刺激を与えるヘアスタイル(例: tight ponytails)を避けることが予防になります。

(5) 免疫系の健康を維持する
免疫系が過剰に働かないよう、健康的な生活習慣を守ることが免疫バランスを整えるために役立ちます。例えば、過度な疲労を避け、体調を崩しにくい状態を維持することが推奨されます。

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6. さいごに

本稿では、円形脱毛症の基礎知識から治療法までを紹介しましたが、治療の選択肢は多岐にわたり、患者の年齢や病状の進行度、社会的背景などによって適した治療法は異なります。医師と相談しながら、自身に合った治療を選択することが重要です。

また、円形脱毛症の研究は現在も進んでおり、新たな治療法が次々と登場しています。特にJAK阻害剤の登場などにより、これまで治療が難しかった重症例に対しても、新たな希望が生まれつつあります。今後も、さらなるエビデンスの蓄積とともに、より効果的で安全な治療法が確立されることが期待されます。

円形脱毛症と向き合う上で、患者自身だけでなく、家族や医療従事者の理解とサポートが不可欠です。適切な情報を得て前向きに治療を進めることが、円形脱毛症との付き合い方を考える上での第一歩となるでしょう。

【参考資料・参考文献】

  1. 日本皮膚科学会:円形脱毛症診療ガイドライン 2024年版 ↩︎
  2. 大山 学:重症円形脱毛症に対する経口 JAK 阻害薬への期待と課題,J Visual Dermatol, 2023; 22: 1103―1110. ↩︎
  3. Murphrey M, Waldman RA, Durso T, Grant-Kels JM: Special editorial: When prescribing Janus kinase inhibitors for dermatologic conditions, be mindful of the Food and Drug Administration’s September 1, 2021, data safety communication, J Am Acad Dermatol, 2022; 86: 42―43. ↩︎

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